[2009.12.2]
北鮮が100対1のデノミを実行。
今まで100ウォンだったのを、新1ウォンと言い換えるデノミである。
一般に、デノミの効果は桁数を小さくする事であるといわれている。これが一番効果があるのは、外貨が自国通貨よりも広汎に流通している状況で、自国通貨の桁数を外貨の桁数に一致させるという場合である。
自国通貨でも外貨でも同じ数値ということになれば、価格票は一枚で済むようになる。そして、商店は、外貨で受け取っても自国通貨でおつりを出すようになる。普通は、外貨で払われたら、おつりは外貨か、闇レートで両替した場合の割高な自国通貨払いになるが、デノミによって桁が揃うと、闇レートでの両替が必要なくなったとなって、同価値取り引きが行われるようになる。
共産主義国家の市場は、物資の欠乏が慢性化していて、物価が上昇しているのに、共産主義で稼ぎが無い。貨幣の総量は一定なので、物価の上昇によって貨幣が足りなくなるから、外貨をそのまま流通させるようになるのだが、北鮮のような独裁国家で貿易が国家管理されている場合、輸入品を買えるのは王朝に近い幹部だけであり、その幹部が商品を民間に流して小遣い稼ぎをするというルートぐらいしか無い。しかし、すでに外貨不足に陥っている以上、購入した輸入品を市場に流して利ざやを取るという小遣い稼ぎ自体が、成立しなくなっている。このルートで流れるのは、輸入品ではなく、もっと基本的な食料となっている可能性がある。
つまり、北鮮のデノミは、公定価格と市場価格の乖離が激しくなりすぎているので、配給される食品の公定価格を市場価格レベルにまで引き上げて、一致させるというのが狙いと思われる。
公定価格は配給される食品についている値札でしかないので、いくらであっても構わない。したがって、前回の配給で渡された袋に100ウォンと書かれていて、次回の配給で渡される袋に新100ウォンと書かれているという事が起きてもおかしくない。この場合、デノミ後の物価の切り上げによって、実質的に、貨幣価値が100分の1に切り下げられた事になる。
問題は、この対策が有効なのは、ほんの一瞬でしかないという点にある。
確かに、公定価格と市場価格は一致したかもしれないし、次の配給で値札が人民に伝わるまでは、その効果は継続する。
物資の欠乏があまりにも酷くなったので、年越しの配給としてばら撒く為に市場に出ている食品を買い取るというのが、狙いなのかもしれないが、それで配給を維持したとしても、元々足りないのだから、市場で食料を買うという行動はなくならない。少なくなった市場の物資を競って買う事になる上に、貨幣価値の切り下げの影響とあいまって、物価はすさまじい勢いで上昇する事になる。
食料は食べればなくなるし、来年の作況が改善して、十分な食料が入手できるようにならなければ、配給では足りない分を市場で買わなければならず、自家消費分として市場で販売する事が認められている食料品の価格は、確実に、上昇していく事が予想されるのであった。
内政の失敗による物価の高騰を、一時的に糊塗しても、問題の先送りでしかない。
ジンバブエが、とんでもないペースでのインフレをやっていたが、それと同じような状況が発生しつつあると考えるべきであろう。
ジンバブエのインフレは、税収として入ったお金を統治者が横領し、海外の匿名口座に蓄財していた為に、公務員に支払う賃金がなくなってしまった事から始まっている。お金が無いなら刷ればいいと輪転機を回し、税収の裏付けの無い紙幣を発行した。税収に比べて足りない分を紙幣を発行して補った為に、毎月のように貨幣価値が下落していった。
北鮮は、社会主義を標榜しているが実態は共産主義であり、輸入が途絶している状態なので、国内生産品を分配しているだけとなっている。物資の量が慢性的に足りないし、共産主義だから所得は増えないということで、スタグフレーションが発生していると考えた方が良いであろう。
貨幣経済が崩壊し、物々交換が標準的な市場経済へと転換するであろうが、公定価格で売らなければならないという権力を揮う宮使が、紙切れに過ぎないウォン紙幣で物資を徴発する世界が見られるかもしれない。
白居易
売炭翁伐薪焼炭南山中
満面塵灰煙火色
両髪蒼蒼十指黒
売炭得銭何所営
身上衣裳口中食
可憐身上衣正単
心憂炭廉願天寒
夜来城外一尺雪
暁駕炭車転氷轍
牛困人飢日已高
市南門外泥中歇
翩翩両騎来是誰
黄衣使者白衫児
手把文書口稱勅
回車叱牛牽向北
一車炭重千余斤
宮使駆将惜不得
半匹紅絹一丈綾
繋向牛頭充炭直
11:40 修正。”貨幣の総量は一定なので、物価の上昇によって貨幣が足りなくなるから、外貨をそのまま流通させるようになるのだが、北鮮のような独裁国家で貿易が国家管理されている場合、輸入品を買えるのは王朝に近い幹部だけであり、その幹部が商品を民間に流して小遣い稼ぎをするというルートぐらいしか無いのだが、すでに外貨不足に陥っている以上、購入した輸入品を市場に流して利ざやを取るという小遣い稼ぎ自体が、成立しなくなっている。”を、”貨幣の総量は一定なので、物価の上昇によって貨幣が足りなくなるから、外貨をそのまま流通させるようになるのだが、北鮮のような独裁国家で貿易が国家管理されている場合、輸入品を買えるのは王朝に近い幹部だけであり、その幹部が商品を民間に流して小遣い稼ぎをするというルートぐらいしか無い。しかし、すでに外貨不足に陥っている以上、購入した輸入品を市場に流して利ざやを取るという小遣い稼ぎ自体が、成立しなくなっている。”へ。下書きの方をupしていた。