1. [2009.12.13]
     天皇の権限について。
     国民の第一人者である大統領を、大統領たらしめているのは、拒否権にある。どんな法案を議会が決定しても、大統領が拒否権を行使したら、その法案は廃案になる。議会にとっての仕事とは、大統領を説得する事である。そして、大統領がその権限を私利私欲の為に使わないように、厳しい監視と任期制が取られている。
     しかし、この為に、大統領を選ぶ為の全国民を対象にした選挙を定期的に行わなければならず、その為の資金の確保や運動員の手当ての為に政党政治が発生している。大統領は政党の利害の代弁者に過ぎず、国民の第一人者というのは、建前でしかないという結果を招いてしまう。
     日本の場合、この役割を、終身制の天皇が勤めている。
     コストが安く済むし、不偏不党であることが前提になる為に、政党の利害に従う事が無いという点でメリットがあるが、終身制であるが故に、激務となる。
     天皇は国事行為として、全ての法律の公布者とならなければならない以上、それらの法律が、過去・現在・未来の国民の為になる事を納得した上でなければ、サインしない。天皇の納得を賜らなければ、御名御璽をいただけない。つまり、法律、政令及び条約の公布が出来ないのである。
     天皇は、国民の第一人者としての勤めとして、すべての法律に対し、それが法案の時点から、立法府・行政府を代表する一の大臣たる左大臣(首相)からの内奏を受け、御下問を繰り返した上で、御裁可している。左大臣が左大臣たるのは、御下問を自らの疑問と置き換えて、諸大臣・官僚に調べさせ、答えを聞く立場にあるからである。
     マスコミを通じて国民全体に理解を求めるという行為が建前でしかなく、マスコミが報道しない権利や恣意的に素材を加工する権利を行使すればするほど、国民を赤子として保護しなければならないという天皇の責務は重たくなっていく。
     天皇の公務を、子孫を残す事と行幸や外交官の接受だけだと考えている人がいるようだが、憲法に間接的に明文化されている日本で只一人の拒否権の所有者として、それを正しく使う為に、日々、御努力をされているのである。
     思うに、民主党は、平安の昔から続いてきた日本の統治制度を、理解していないのではないだろうか。学んでいないというのであれば、日本で政治を志す者として失格であるし、破壊するというのであれば、それに代わる新しい、そして、より効率的で間違いの発生しない制度を提案するのが先である。
     天皇制について、この日記では、女帝は構わないが女系はダメだとしている(cf.[2006.9.7])が、この拒否権という大きすぎる権力を終生担わなければならないという点に原因がある。女帝には、摂政関白として男子皇族が後見につく。国民の第一人者としての勤めを実際に行うのは、後見となる男子皇族となり、日嗣の皇子もその男子皇族の継嗣となるから、実務上は差し支えが無いし、拒否権の運用の為に必要な知識経験を引き継がせる事も期待できる。しかし、女系天皇は、その家系の利害を国政に持ち込む事が可能となるが故に、制度の意義を失わせる事になる。女だからやれないのではなく、女系天皇へと切り替えてしまい、天皇の権力を私しようとする者が闘争を始めるようになってしまうと、知識経験を引き継がせる事が出来なくなるから、やらせられないのである。女系天皇が可能ならば、邪魔な継承権上位者を消せば、長子の地位は順番に下りてきて、皇配が摂政関白を名乗り、天皇ともども、ろくな経験知識も無いのに、拒否権を揮えるようになってしまうのである。天皇・皇太子の弑逆は大逆罪であるが、下手人の口さえ封じてしまえば、実利を得られるとなる。男系男子継承という、限定された窮屈なルールを取っているのにも、ちゃんと理由があるのだ。

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    [2009.12.12]
     中国の副主席が今上に謁見を申し込んでいるという話。
     今上への公式の会見は、1ヶ月前に文書で申し込む事というルールがあるのに、鳩山政権は、それを捻じ曲げようとしている。
     公式のお茶会の参加予定者を午餐会に招くというくらいの融通は利かせられるが、何の予定もない人をルールを無視して押し込むには、相応の理由がなければならない。それも、国際的に通るレベルの理由である。
     たとえば、東シナ海における国境紛争において日本側の主張を全部飲むとか、日本の主要都市すべてに照準をあわせている核ミサイルを全廃して査察を受け入れる、といったレベルの、今後、他国が、無理やりスケジュールを押し込む事をためらうレベルの成果が必要となる。将来自分が主席になった暁にはという空手形では通用しない。
     それが無く、ただ面会がなったというのでは、沽券に関わる。
     中国の副主席に、中国政府に対するそれだけの指導力・実力・影響力があるかどうかも問題になるし、それが無いのに面会だけなったという場合には、鳩山政権そのものが、今上の御不興を買う事になる。”以後、内奏に及ばず”と田中義一以来の出入り禁止を食らうことすら覚悟しなければならない。この場合、開会詔書も解散詔書ももらえない事から、辞任して誰か別の人を首相にしなければならない。
     鳩山首相は政治利用ではないと主張しているが、ルールを捻じ曲げてまで面談を設定する以上、相応の世界的に通用する結果が必要となるという時点で、既に政治利用となってしまっているのである。
     この責任を取る覚悟があってのことだと思うが、幹事長に命令されたからやっているだけだもん!とか、言いそうな気がするのであった。

    — 珍獣くえすの書きなぐり日記
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